2015年02月21日

2月ドボベット勉強会

今週は尋常性乾癬治療剤ドボベット軟膏の勉強会を行いました。
乾癬は慢性で軽快と悪化を繰り返し、人口のおよそ0.1%にみられる病気です。
患者さんの病気の程度により、治療法として外用薬(塗り薬)からスタートします。外用薬はステロイド外用薬、活性型ビタミンD3外用薬が主に使われます。

ドボベット軟膏は、活性型ビタミンD3軟膏・カルシポトリオール水和物(ドボネックス)とステロイド軟膏・ ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロンDP)の配合剤です。2剤配合において技術的に難しかったことをクリアして安定化させているとのことです。

このお薬の用法用量は1日1回塗布なので利便性が高いのが特徴です。
乾癬は慢性で発疹を繰り返し作る病気ですので、外用治療を行う場合には、長く治療を続けるために、患者さんの負担が少なく簡単な方法が求められます。
ただし、リンデロンDPはステロイド軟膏のクラスⅡ群very strongであるので、塗布する部位には注意する必要があります。

協和発酵キリンさんの勉強会でした。




  


Posted by nahakana-hifuka at 23:17皮膚科の病気

2015年02月11日

ファイヤーコーラル

先日、ダイビング中に手首がかぶれたという方が来院されていました。
赤い丘疹、紅斑が集簇し、かなり痒みと痛み腫れが強かったとのことで、受傷されてから数日経っていましたが、まだ炎症を強く認めました。
先輩ダイバーさんからファイヤーコーラルだろうと言われたと。

ファイヤーコーラルといわれているのはアナサンゴモドキという刺胞を持った刺胞動物です。サンゴ礁の形成にかかわる広い意味での造礁サンゴのようです。
サンゴの体はポリプといわれ、イソギンチャクを簡単にしたような姿をしていて触手があり、そこに刺胞という、中に毒針が収められた袋を備えています。それが他の生物などに触れると、収められた針が飛び出し毒を注入します。
アナサンゴモドキは、ファイヤーコーラル(火傷サンゴ)、うちなーぐちではハチャーウール(蜂サンゴ)といわれ、このサンゴの近くを通りかかっただけでかぶれることがあるようです。夏期にはヒトを刺す毒を持ったに見えない小さなクラゲを出すので注意が必要です。

  


Posted by nahakana-hifuka at 23:12皮膚科の病気

2015年02月10日

フットケア

高齢化社会を迎え、日本でも糖尿病などに起因する足病変に悩む患者さんが多くなり、フットケアが大事になってきています。
皮膚科でも、足の病変は多く見られ、爪白癬、足白癬、鶏眼、胼胝の治療を行っています。
また、間違った爪きりで逆に陥入爪になっている場合には、爪切り指導など、細かいところの指導も必要です。

ご自身でできるセルフケアとしては、足の観察、保湿、荷重を減らす、などがあげられます。
特に糖尿病の患者さんには神経障害があるため、刺激や外傷に対して自覚が乏しいため足を毎日観察することが大事です。
  


Posted by nahakana-hifuka at 23:08皮膚科の病気

2015年02月03日

皮膚バリアとストレス

皮膚についての記事で興味深い内容がありました。(大分大学医学部皮膚科准教授波多野先生の記事によると)
皮膚バリア機能に影響を及ぼす因子として
①アレルギー性炎症による内部からの刺激
②乾燥
③角層PH上昇(掻爬、多量発汗、有機溶媒使用)
④外来生物由来因子(細菌、花粉、ダニ抗原等)
精神的ストレス
とありました。

精神的ストレスによる皮膚のバリア機能低下に影響するメカニズムとして、ストレスによる様々な内分泌系の活性化により透過性バリア機能が低下し、角層の層板顆粒の分泌低下および抗菌ペプチド産生低下となり抗菌バリア機能にも影響する可能性があると考えられているとのこと。

患者さんに、湿疹病変のきっかけとなることを聞いていると、乾燥やかぶれはもちろん、最近ストレスがとてもあった、と答える方は少なくありません。
皮膚のバリア機能が低下する増悪因子を考えることは、湿疹をくりかえさないために大事な事だと思います。

  


Posted by nahakana-hifuka at 23:27皮膚科の病気