2015年10月30日

血管腫

生まれたときからある乳児の皮膚のあざは、ありふれたものですが、誰の目にも見えるものなので保護者の方はお悩みの事と思います。
ほっといていいものか、早く治療したほうがいのか、一律ではありません。

特に血管腫についてです。
①ポートワイン母斑(単純性血管腫)は出生時からある平らな赤い斑です。赤ワインをたらしたようなシミのような見た目からそう呼ばれるようになったとのことです。全身どこにでもできます。思春期にかけて紫色に色が濃くなり、中年以降は隆起してくることもあり、早期のレーザー治療が必要です。

②サーモンパッチ
新生児の額の真ん中、眼瞼に淡い紅斑がみられます。1歳すぎにはほぼ消退します。ときに成人まで残存することもあり、1歳すぎても消えなければ、レーザー治療をおすすめします。

③ウンナ母斑
後頭部から首のうしろにかけて紅斑がみられます。サーモンパッチより時間がかかりますが10年ほど経過して消える場合と、残る場合もあります。部位的に髪の毛で隠れるのであまり積極的にレーザー治療は必要ありません。

④苺状血管腫
生後すぐでなく、数日から2週間程度で鮮やかな紅斑が出現してだんだん大きくなっていきます。生後5−8ヶ月ごろにかけて大きさはピークになりその後はゆっくりと消えていきます。レーザー治療が絶対必要である訳ではありませんが、レーザーを早期にすることによって自然消退を早め、瘢痕を小さくすることができます。顔面や手など、少しでも早く赤みがとれるように早期のレーザー治療をおこなう場合があります。
また、降圧薬βーブロッカーであるプロプラノロールが苺状血管腫退縮に効果的ということがわかり、今後の治療の選択肢となりそうです。

いずれの血管腫も部位と時期と型によって、レーザー治療が必要かは個々に違います。
レーザーとしては、ダイレーザー、Vビームレーザーとなりますが、当院にはありませんので、レーザーのある施設に紹介することとなります。
皮膚以外の合併症をもつ血管腫もありますので、一度病院でご相談下さい。

  


Posted by nahakana-hifuka at 22:55皮膚科の病気

2015年10月19日

豆乳アレルギー

大豆によるアレルギーは、従来の大豆を食べて蕁麻疹、胃腸症状、気道症状などの即時型アレルギーを起こすものです。
子供さんに多く、醤油、みそ、納豆などの発酵食品以外のほとんどの大豆製品で症状がでてきます。
とても敏感な場合は、大豆発酵食品も症状が出るため摂取不可能となります。近年小児においては、大豆アレルギーは減少傾向にあり、食物アレルギーの2%とされています。

さて、最近成人において、豆乳を飲むと口腔内の腫脹、かゆみ、耳の奥のかゆみ、のどの痒みがでてくるという患者さんが増えてきているようです。
これらの患者さんんは、花粉症を持っていて、リンゴ、メロン、キウイなど広範な種類の果物や野菜に対して口腔アレルギー症候群(OAS)を合併している事が多いようです。
ハンノキ花粉症の抗原であるPR−10関連蛋白との交叉反応によるGly m4を主要抗原とする豆乳アレルギーとなります。

豆乳は高濃度のタンパク質を含む溶液であるので、口腔粘膜での吸収性が高いのです。
にがりを加えてゲル化した食品である豆腐は症状がでないという症例も多いようです。ただし豆腐でも症状が出る方もいて絶対大丈夫ともいえません。

大豆アレルギーにもさまざまな病型があり、とくに花粉症をお持ちの方はその治療とともに、豆乳の摂取で口腔内のかゆみがでないか注意が必要です。



  


Posted by nahakana-hifuka at 22:30

2015年10月10日

10月17日土曜日休診のお知らせ

10月17日土曜日は休診とさせていただきます。

大変申し訳ありませんが、何卒宜しく御願いいたします。


  


Posted by nahakana-hifuka at 06:54

2015年10月06日

疥癬治療薬もノーベル賞!

2015年のノーベル医学生理学賞を北里大学特別栄誉教授の大村智先生が受賞しましたね!
寄生虫の引き起こす感染症に効果のあるイベルメクチンを開発したことが高く評価されたのです。
この薬は、沖縄に多い糞線虫症やアフリカなどに多いオンコセルカ症やリンパ系フィラリア症に劇的な効果を示します。年間3億人が使用して4万例の失明を防いでいるという素晴らしい薬です。

線虫のみならず、疥癬にも有効であることがわかり日本でもストロメクトールという商品名で広く使われてます。

皮膚科では2006年8月から「疥癬」の保険適用が認められ、疥癬患者さんに投与しています。疥癬は老人ホームなどの高齢者に集団感染することが多いのでこの薬が出るまで、疥癬の治療は外用が主体でした。
以前よく使われたγ—BHC軟膏(その後農薬としても製造中止)、安息香酸ベンジルローション(BBローション)、イオウサリチル酸チアントール軟膏、オイラックスなど、これらの中には入浴後6時間や24時間で洗い流す必要があったり、中枢神経障害などのおそれのある外用もあるので、いろいろ注意が必要でした。
電子カルテ普及前で、数十人が集団感染した施設で処方箋に一人一人に『首から下全身に外用後6時間で流す』と書くのは骨の折れる作業でしたが、毎日入浴介助や外用治療にあたる現場のスタッフさんは本当に大変だったと思います。

イベルメクチンは内服薬であり、とても簡便です。
疥癬の患者さん、周りの介護者、皮膚科医にとっても画期的な薬。
こちらが疥癬の画像です。

静岡県のゴルフ場の土壌から、大村先生が発見しその後の研究で今があることを思うと、ありがたく処方させて頂かなければ!と大村先生の笑顔あふれるニュースを見て思いました。
  


Posted by nahakana-hifuka at 23:01

2015年10月01日

ニキビでお悩みの方に。

ニキビは90%以上の人が罹患するとても多い疾患です。平均的には男女ともに13歳前後に発症し、高校生でピークを迎えます。
患者さんにとっては美容的な観点から精神的苦痛を伴う場合もあり、可能な限り早めの治療が必要です。

面皰(白ニキビ)に対してはアダパレン(ディフェリンゲル)外用、炎症性ニキビ(赤ニキビ)に対しては抗菌薬外用(ダラシンゲル、アクアチムクリーム)、過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)、過酸化ベンゾイルと抗菌薬の合剤(デュアックゲル)による治療があります。
また、中等症以上の炎症性ニキビ(赤ニキビ)に対しては、抗菌薬による内服、漢方も組み合わせて治療していきます。

さらに、女性では18歳以上で発症する思春期後痤瘡の症例が多く見られます。
頬から顎を中心にU型の分布を示します。保険診療では難治な場合もあり、そういう方に対して当院では自由診療であるサリチル酸マクロゴールピーリングを行っています。



炎症性ニキビの赤みがかなりとれて改善しています。新生もほとんどなくなってきています。
(※ご本人の了承を得て写真を掲載させていただいております。)

サリチル酸マクロゴールピーリングは、皮膚に化学薬品を塗布して皮膚を剥離させ、創傷治癒機転による皮膚の再生を利用してにきびを改善させる方法です。
サリチル酸マクロゴールは、30%、PH1.7で皮膚の角層のみに作用して炎症をおこすことなく、古い角層はほとんどすべて剥離されます。
また、サリチル酸マクロゴールピーリングでは他の基剤と異なり皮膚の皮脂腺から吸収されません。皮膚角層の細胞のみに作用するので、刺激がなく、後からの副作用の心配がないので、従来のグリコール酸や乳酸のピーリング後に痒くなった方にも、適しています。にきびのみならずしわ、色素斑、きめの改善もあります。1ヶ月に1回、3回受けないと効果が実感できないと思われるので、継続して受けることが必要です。(こちらも参照下さい→大人ニキビにサリチル酸マクロゴールピーリング!)        

ニキビは慢性的に経過することが多く、すぐには治りにくいのですが、患者さん一人一人の症状に合わせて、治療計画を立てることが必要と考えます。
  


Posted by nahakana-hifuka at 21:07皮膚科の病気美容皮膚科