沖縄皮膚科勉強会

nahakana-hifuka

2013年11月17日 00:01

本日は第285回沖縄皮膚科勉強会がカルチャーリゾートフェストーネでおこなわれました。

今回は『最近の乾癬研究』という演題で旭川医科大学講師の高橋英俊先生が講演されました。遠い北海道からいらっしゃいました。

肥満と乾癬の重症度が相関すること、脂肪細胞から出る生理活性物質であるアディポネクチン(動脈硬化を抑える)が減っていること、乾癬の炎症をひきおこすTNF-αが増えていること、乾癬は全身性の炎症性疾患であり、皮膚以外の症状についても考慮し内科とも連携した治療戦略が必要である、などとても興味深い内容でした。

乾癬の治療として今までの治療で良くならない患者さんに、生物学的製剤といわれる抗TNF-α抗体製剤インフリキシマブ(レミケード)、アダリムマブ(ヒュミラ)、抗IL-12/23p40抗体製剤であるウステキヌマブ(ステラーラ)の3剤が使用可能となっています。

炎症をおこしている因子を抑えることで症状を改善させることができます。
感染症のリスクはあるものの、効果は高いと言われています。ただ、厳重な管理で定期的な検査が必要で、この治療ができる施設は大学病院など限られています。

私が大学にいる頃は、まだこのような薬はなく、ステロイド外用、ビタミンD3外用、シクロスポリン内服、チガソン内服、紫外線療法を組み合わせて治療していました。今後も新しい抗体製剤が出てくるものと思われますが、すべてに万能なものはなく、どの治療法を選択するかは患者さんの症状、患者さんの条件、費用などいろいろと検討して考える必要があります。乾癬は良くなったり悪くなったりと波があり個人差が大きい病気です。あせらず気長に治療しましょう。

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