2015年10月06日

疥癬治療薬もノーベル賞!

2015年のノーベル医学生理学賞を北里大学特別栄誉教授の大村智先生が受賞しましたね!
寄生虫の引き起こす感染症に効果のあるイベルメクチンを開発したことが高く評価されたのです。
この薬は、沖縄に多い糞線虫症やアフリカなどに多いオンコセルカ症やリンパ系フィラリア症に劇的な効果を示します。年間3億人が使用して4万例の失明を防いでいるという素晴らしい薬です。

線虫のみならず、疥癬にも有効であることがわかり日本でもストロメクトールという商品名で広く使われてます。

皮膚科では2006年8月から「疥癬」の保険適用が認められ、疥癬患者さんに投与しています。疥癬は老人ホームなどの高齢者に集団感染することが多いのでこの薬が出るまで、疥癬の治療は外用が主体でした。
以前よく使われたγ—BHC軟膏(その後農薬としても製造中止)、安息香酸ベンジルローション(BBローション)、イオウサリチル酸チアントール軟膏、オイラックスなど、これらの中には入浴後6時間や24時間で洗い流す必要があったり、中枢神経障害などのおそれのある外用もあるので、いろいろ注意が必要でした。
電子カルテ普及前で、数十人が集団感染した施設で処方箋に一人一人に『首から下全身に外用後6時間で流す』と書くのは骨の折れる作業でしたが、毎日入浴介助や外用治療にあたる現場のスタッフさんは本当に大変だったと思います。

イベルメクチンは内服薬であり、とても簡便です。
疥癬の患者さん、周りの介護者、皮膚科医にとっても画期的な薬。
こちらが疥癬の画像です。
疥癬治療薬もノーベル賞!
静岡県のゴルフ場の土壌から、大村先生が発見しその後の研究で今があることを思うと、ありがたく処方させて頂かなければ!と大村先生の笑顔あふれるニュースを見て思いました。



Posted by nahakana-hifuka at 23:01